村井 純
2020年1月に最終講義
インターネットに国境はない。国や政府が分断したり規制しようとしたりする試みは続くだろうが、若い人たちで守ってほしい
インターネットは「人類が初めて手にした世界共通のデータ・ネットワーク」だとし、国や政府から独立した国境のない形で運営することの大切さを強調。
CGMが当たり前の中で質の高いジャーナリズムをやるにはどうするか?という課題
同一性の担保の方法は政府の認証がなくてもできる
個人に対するレピュテーション
コミュニティーからの信用
長期継続した評価
個人ができることはお勧めすること。コミュニティの取捨選択の質が上がる
フリック入力より音声インタフェース
慶應SFCは学ぶ順番をこだわらない。1年から研究できる。必要だと思ったら勉強できる(モチベーション・ファースト)
大学時代になにをやればいいですか?
好きなことを思い切りやる
いい友達をつくる
俺のわずかな30年の経験で青春の学生と付き合ってて、「あー、見つかった」っていうのは友達を通じてだよね、先生を通じてとかね。例えば、俺が何が好きだかわかるだろ、もう。そうすると、授業を通じて俺から分かるってこともあるよ。それから、全然関係ない友達、研究室とは関係ない友達。例えばサークルだとかどっかでばったり出会ったとか。そういう友達と話してると、全然違うことに夢中になってる人とかと出会うことがある。そうすると「あ、これって面白いかもしれない」っていうことに気が付くので、 このSFCのデザインでできるだけ気を付けてたのは、研究室入っちゃうと研究室にズポーンと行って出てこないとか、サークル行ったらサークル以外に出てこないっていうのは、それもそれでいいんだけどさ、好きなことやってるから。だけど、なんかそういうんじゃない出会いができるようになんないかなって言って、例えば今体育のクラスとかすごく大事な役割を果たしてると思うんだよ、全然知らない人と一緒のことをやらなきゃいけないっていうのは。それで、履修するっていっても全然関係ない人と一緒に履修をして、それで友達になって、そこを知ると「なんかこいつのやってること良い、面白そうだよね」っていうのが見つかるから、こうやってやっぱり人を通じて見つかるんじゃないかなとは思うけど。素敵に夢中になってる人から学べるんじゃない?
なぜインターネットをやろうとおもったのか
高校大学の最初の頃にコンピュータ大嫌いで。それでその頃のコンピュータはメインフレームで、偉そうに真ん中に鎮座してて、なんか行列してカードとか持っていって、ガーって読ませると2日後に結果が出るみたいな。計算機ってそういうもんだから。 俺、ずっとキャンプのカウンセラーをやってたんだよ。野外教育をずっとやってたんだよ。なんとなく人間のことが好きで、人間が中心じゃ無いと気が済まない。だから、コンピュータをやるやつも嫌いだったし、コンピュータの授業も避けて。そのころ、必修じゃなかったから避けて通れたんだよ。
そうするとだんだんその頃から、例えばワープロとか出てきて、ワープロってコンピュータで出来てるけど人間の道具だよね。 元の俺のコンピュータのイメージは、コンピュータが真ん中にあって人間が群がってるみたいなイメージだったのに、人間が真ん中にあって道具が散らばってて、それが人間を支えるみたいなそんなイメージがついに持てるようになってきたので、その絵を描いたの、学部のときにいきなり。始めはコンピュータが真ん中、周りに人間がいる。もう1枚の絵は、人間が真ん中、周りにコンピュータがある。それで考えたわけ、このコンピュータと人間が話してると、命令してると、なんか面倒くさい。それで、例えば秘書が3人いて、通訳が3人いて、それぞれ秘書なりに全部話しながらお願いしてたら時間が3倍かかっちゃう。だけど、秘書の代表みたいなのがいて、その人が他の秘書と連携してくれていれば、自分を助ける秘書のモデルってそういうので出来るんだろうなって思ったわけ。それで、じゃあ人間の周りにあるコンピュータってのが手をつないで、真ん中の人間のことを支えるようになんなきゃいけないよなってそのとき思って、そういうことができないかなと思ったの。それでできなかったね、そのときのコンピュータは。だから俺はインターネットを作ろうと思ったというよりは、コンピュータが人間を支える仕組みを作りたい、そのためにコンピュータはコンピュータ同士で話さなきゃいけない。それがコンピュータネットワークの研究をしたきっかけ。分かった? 海外に行かなかった理由
今俺がこの国を離れたら、日本のネットワークが止まるなってやっぱ思ったんだよね。クールダウンするな、と。もうちょっと経ってからじゃないと駄目かなとかっていうふうに僕は思ってたわけ、勝手に。きっと俺がいなくなれば、残ってたやつらがうまくやってそんなことは無いんだよな、普通は。だけど、俺はそう思ってたの。だから、海外に行かなかったのはなぜですかっていうのを正直に答えると、今俺がいなくなると、やっぱ(日本のネットワークは)止まっちゃうんじゃないかなって若い頃思ってたんだよね。でもそれはうぬぼれであって、多分そうじゃなかったんだと思う。なんか、俺が留守にすると動かなくなるんじゃないかなっていう心配があったから。
大人にうまいもん食わせても喜ばないね。だって自分で食えるじゃん、みたいに思うじゃん。
インターネットが生まれて、人類が初めて地球全体を一つの空間として認識できた 元の文明ってのは世界にたくさんあるんだけど、でもインターネット文明っていうのは1個しかない、インターネットは地球に1個しかないから。ここが一番伝えたいことで、俺たちは国と国との間でこの地球を生きてるけど、インターネットは1個しかない。これが一番のバリューだと思う。人類は、インターネットの前には地球全体を1つの空間だと思って人間が生きる空間を持ってなかった。だが、インターネットでそれが出来た。でも、それと同時に国際空間も持ってる、戦争も起こる、経済制裁も起こるので、この2つを空間として同時に持ってて、それが当たり前だと思うのがインターネットネイティブ、インターネット文明時代の皆さん。俺たちはそれを作ってきたので。これを前提に1つの空間を作ってきたから、その間にいろんなコンフリクトもあったし、それからもっと重要なことは気が付かなかったね。みんな、もしインターネットが今日のようになるなら、あらかじめぶっ潰しておけば良かったって思うやつがきっといたと思うんだよ。だけど、そいつらが気が付く前に作っちゃった、従って出来たというところがあるので、これからどうなるかっていうと、潰しにかかってくるやつが絶対いるから。それで、これをどうするかをみんなに委ねたいね。守れよー、地球で人類が初めて1つの空間を作ったんだから、これを1つ1つの国の権利で分断したり、ぶっ壊したり、バラけさせたりさせるなよ。頼むぞ、ここまでやってきたんだから。それで、それが両方で生きてることがとても大事だと。これがインターネットのこの授業で一番伝えたかったことだし、みんなにお願いしたいことでもある。 後進育成
普通は学部のポストが空いたから募集をかけるが、(一部で)「うちにないやつ」で募集をかけた
竹中平蔵「日本のインターネットは、どうしてこんなにぼろいの?」 「役所で使ってない。経済で使われていない。だから、日本の経済はアメリカに後れを取るんだ」」
それで、「どうすれば良いですか」って言われると、「掛かった」みたいな、そういう金融コンサルタントってみんな大体そういう論法で話すわけ。